9月 2020

新聞に載りました

先日の授業の事で新聞に掲載されております。
スタッフの方が記事を送ってくれたので取り急ぎ貼っておきます。

高校のエリアマネージメント科の講師をしてきました

福島県立喜多方桐桜高等学校のエリアマネージメント科というところで特別授業の講師をしてきました。

この科は地域の様々な文化や歴史を学生達が自らリサーチし、それらの発表のみならずプロモーションする所までを含めてフィールドワーク的にも地元と深く関わっていく内容の授業になっていて、僕も最初に聞いた時はなんて斬新な教育なのか、ととても感動しました。

学生の頃の興味というのは物凄くパーソナルなもの・・つまり自分自身や恋人だとか、家族だったり、その逆のベクトルは物凄く遠いパブリックな世界にあったりするものですが(少なくとも僕はそうだった)どちらにしても前提として世界への正しい認識とか人との深いコミュニケーションがなければその興味の対象というのは、あくまでも自分の枠組みや視点から見えているだけの『とても抽象的なもの』に帰結してしまう事が多かったりするので、こういった総合的な視野や行動力を獲得していける授業内容というのはもしかすると受験対策にはならないのかもしれないけど、確実に生徒たちの生きる力として今後活きてくるものを身に着ける事ができる素晴らしい機会だと思いました。

今回の特別授業は喜多方の伝統的建造物群保存地区である小田付の町並みを学生達が自ら企画した内容を元に動画撮影、編集し地域のプロモーションビデオを作る、というコンセプトの中で『映像を活かす音楽の選び方』という切り口から音楽家としてぜひ関わってもらえないだろうか、というオファーで参加しました。

僕の福島での映像作品の音楽を色々と見てくれている知人の紹介でこういった機会を得ることができましたが、生徒達とのZOOM越しのディスカッションの中で僕自身もとても多くの学びを得ることが出来たと思います。

「音楽というのは、もともとがまつりごとだったり神事のときの捧げものとして作られたり演奏されたりしてきたものだから、歴史とか文化とは物凄く関係性が深い。そういう場所や観点から音楽というものを発想していくというプロセスは、もしかすると映像で表現しようとしているものの本質を深い所からすくい取るプロセスの一つになるかもしれない」

とか小難しい事を話しながら自分では『僕は今、物凄くつまらない内容の話をしている気がする』とか内心焦っていたりしたのですが、会場からも生徒からも「へぇーーー!!」とか「おおぅーー」とか感嘆の声を頂戴したりしてなんとか授業を進める事が出来ました。

「でも、これは今のみんなの学んでいる事とはあまり関係がないかもしれないけど、音楽が人生で一番必要な時っていうのはどんな時だと思いますか?」

と僕から質問して首を傾げている学生達に「それは皆くらいの年齢の時に・・恋をしている時、好きな人がいる時なんだよ!」と思いっきり脱線的に言ってしまった時にはこれはZOOMか?と思うくらい教室と遠隔の会場との距離が縮まり授業の中で一番白熱した時間になっていました。

そこからは教室から忌憚のない質問攻撃が開始されて

「大岡さんは恋をしていますか?」

と聞かれた時はさすがに焦りましたが、

「割といつもしてますが・・例えば小説とかドラマとか・・そういった創作物の中に出てくる登場人物がとても魅力的に感じたりすることがあって、そういうのは表現者にとっては音楽や芸術を作る動機の一つになり得ると思います。」

とか話しながら学生達の洞察力に射抜かれ続けている緊張感を内心戦々恐々としながら感じたりしてました。

一番最後の質問で「大岡さんは今後どのような音楽活動をしていきたいと思っていますか?」

というのが来て、思わず背筋を伸ばして真面目に答えましたが、それは今回の授業を受けてくれた生徒達と会場に来て下された方たちが偶然現場で聞いた事にしておきたいと思います。

(ここで今回のブログを読んで下さった人への答えは僕の今後の行動と結果を持って示していきたいと思います)

今回の貴重な機会を与えてくれた関係者の皆さん、
会場を整えてくれたスタッフの方たち、会場で参加してくれた人たちに心から感謝します。

どこに生まれても、暮らしていても、生きていても、大切な物があり愛する人がいて自分の夢を持てる人が一番強く、
そして、その強さはいつか必ず自分たちの生まれた世界を照らす光になると信じています。

今回の授業に参加してくれたみんなと同じ福島に生きている事を僕は誇りに思います。

またどこかで会いましょう。