正真正銘の生まれ故郷、福島県の須賀川市という街のキャラクターソングのアレンジを担当しました。
市内の幼稚園や空港の方たち、市役所の皆さんや市長(!)さらには街の人々・・など実に多くの人たちが一つになった素晴らしい映像になっています!
プロデュースは同じ須賀川市在住のギタリストの佐藤さん、
作詞作曲と歌唱はつじむらゆみこさんということで、音楽セクションに関しては既に何度か現場を共にした制作チームなので、スタジオでの進行はとてもスムーズでした。
ギタリストのプロデュースなのにギターパートがない!という凄まじいアレンジをしてしまいましたが、今回は音楽家として色んな挑戦もするよりも長く愛される作品であるために、オーソドックスで凝ったことはしない、出来る限りシンプルに分かりやすく・・という事を心掛けてアレンジしています。
・・とはいうもののそれだけでは面白くないので、エンディングパートにはいつか地元の小学生の鼓笛隊や中高校生の吹奏楽がコラボレートできるようなマーチングパートを盛り込んでいます。DAWでスネアのロールリズムを組むのが地味に大変でした(極力ループのサンプルを使いたくないので・・・)。
ティンパニーは鍵盤の手打ちでドドドン!と僕がやっています。
地元の子供たちの掛け声も何度もスタジオでテイクを重ねてもらって一番いい所を編集して音源に貼り付けて完成させました。
裏話的な事を書いてしまうと実は中盤のラップパートはもともと佐藤さんのアイデアで「ぜひラップを入れたい」という案があり、そこは他のプロのラッパー(というのが存在するのかどうかは別にして)に差し替える予定で僕がデモ用に自分の声で歌っているのですが、それが「もう、これでいいんじゃない?」という佐藤さんの鶴の一声で本採用になってしまいました。
「いや、それはデモなんで・・ちょっと個人的には・・」とアレンジャー権限でかなり強硬に反対したのですが「いい、いい!」というPの判断で音源化されてしまってます。
知り合いにはKOOさんに似てるね、とか言われてますが恐れ多い上にラップは初めての経験です。いいのでしょうかこんなんで?!
ボータンというキャラクターは僕が子供の頃から知っていますが、まさか自分の街のこういったキャラクターの歌を将来自分がアレンジすることになるとは夢にも思っていませんでしたが、音楽家として世界制覇的な無謀な野望は未だに胸に懐き続けてはいますが、そういう自分の成長を見守ってくれた故郷とそこで生まれ育った仲間たちと何かを作り上げていくという過程は音楽家冥利に尽きるというか、
正直、子供の頃から「お前みたいなやつがそんな簡単に音楽で成功したりするわけない」とか「かなり難しい世界だからね・・」とか色んな否定的な事を言われたりモロに人格含め自分の事を酷評されたりしてきた経験もありますが、そんな事を補って余りある幸せを感じてます。
自分の音楽の目標というのは特にこれというのは明確にはないのですが、自分のライフワークである音楽を継続していくという事の中で自分が想像していた以上の嬉しい出来事やそれをもたらす作品があるとすれば、まさにそれであり、僕の関わってきた、これまでの一つ一つの作品が線となり、今回は僕を須賀川という自分が生まれた街に一度還してくれた、そんな機会になったと思います。
音楽家の坂本龍一さんが「人はいつからこんなに寿命が伸びたのか。還暦というのは人生がちょうど一周して一つの円が出来上がった、ということでしょ。だからそれ以上はごほうびと思って僕は生きているんです」と最近のインタビューで仰っていましたが、僕にとっては今回のボータンソングは音楽家としての還暦(実年齢はまだそこまでではないのですが)であり、そしてここから、という新しいスタートになるんだと思います。
物を作る仕事をしていて、自分の生まれた街を大切にしない人などいないと思います。
自分が存在し、何かを生み出せるのは「今ここに生きているから」なのだから。
その事実を育み、見守ってくれた故郷に、僕の音楽という一つのささやかな特技と夢をこうして預けることが出来て、本当に嬉しく思います。
そして、そんな故郷がこれからも見守っていてくれていたら嬉しいです。
ありがとう須賀川市!そしてボータン。
そして共にこのプロジェクトに関わってくれた多くの方々に心からの感謝を捧げます。
今回は本当に楽しかったです。
制作・著作 須賀川市
企画ウルトラFMエンターテイメント
プロデュース 佐藤正彦
作詞作曲・歌唱 つじむらゆみこ
編曲 大岡真一郎
振付 湯座聖美
映像 朔丸 studio『glaughy』
協力 ウルトラFM 福島空港 株式会社ANAエアサービス福島FLYERS
須賀川牡丹園 牡丹キャンペーンクルー
須賀川市コミュニティプラザ
市内各幼稚園の皆さん 須賀川市職員の皆さん